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高森明勅
2021.3.11 06:00皇室

上皇陛下のビデオメッセージ

東日本大震災の際、上皇陛下から国民に対し、
ご懇篤なおことばをビデオメッセージという形で、お伝え下さった
(平成23年3月16日)。

優渥(ゆうあく)なおことばを戴いて、人々がどれだけ力付けられたことか。
震災から10年を迎えるに当たり、ここに謹んでその全文を掲げさせて戴く。

「このたびの東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という
例を見ない規模の巨大地震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を
痛めています。
地震や津波による死者の数は日を追って増加し、犠牲者が
何人になるかもわかりません。
一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。
また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを
深く案じ、関係者の尽力により事態のさらなる悪化が回避されることを
切に願っています。

現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、
厳しい寒さのなかで、多くの人々が、食糧、飲料水、
燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。
その速やかな救済のために全力を挙げることにより、
被災者の状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていくことを
願わずにはいられません。

そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを
励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに
深く胸を打たれています。

自衛隊、警察、消防、海上保安庁をはじめとする国や地方自治体の人々、
諸外国から救援のために来日した人々、国内のさまざまな救援組織に
属する人々が、余震の続く危険な状況のなかで、
日夜救援活動を進めている努力に感謝し、その労を深くねぎらいたく
思います。

今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、
その多くに各国国民の気持ちが被災者と共にあるとの言葉が
添えられていました。
これを被災地の人々にお伝えします。

海外においては、この深い悲しみのなかで、日本人が、
取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに
触れた論調も多いと聞いています。
これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を
乗り越えることを衷心より願っています。

被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、
さまざまな形で少しでも多く分かち合っていくことが
大切であろうと思います。
被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体(からだ)を
大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、
国民一人びとりが、被災した各地域の上に、
これからも長く心を寄せ、被災者と共にそれぞれの地域の復興の
道のりを見守り続けていくことを心より願っています」

上皇陛下の尊いお気持ちを改めて銘記したい。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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